特集 命と向きあう─動物との共生をめざして─
いのちが生きた証を残す
動物肖像彫刻家 はしもとみお さん
はしもとみおさんは、「生」をテーマにリアルな動物たちの肖像彫刻を続ける彫刻家です。今までに出会った動物たちを、目の前に生きている、生きていた生きものたちとして捉え、ひとつの生命が存在する証をこの世に残すために彫刻を続けることを目標としています。はしもとさんの作品には、動物たちの命のたくましさや、モデルになった動物たちへのはしもとさんの優しいまなざしが感じられます。
動物たちのこと s
ブログ「はしもとみおのナマケモノ日記」より
いままでに出会った動物たち、わたしはそのひとりひとりの暖かさや温度を、忘れる事はありません。
言葉の通じない彼らとふれあう事で、言葉のいらない語り合いを、日々感じています。
動物たちが好きかと聞かれると、単純に好きという訳ではなく、自分とは違った形をしている、違った生き方をしている生き物だという興味と感動の感覚です。
「他者の痛みや苦しみを、深く想像できる人間になれ」
このことは、もの言わぬ動物たちから教えてもらいました。
死を間近にした動物たち、木々の生命、目に見えぬ生物たち、彼らは人間よりもはるかに想像力がある、と私は感じます。
それは、死や危機を想像する能力、常に緊張感を持って、生きている。
自分の苦しみを想像できるからこそ、他者の苦しみも想像できるようになる。
そんな生き物に、私もなりたいと感じます。
肖像彫刻は、モデルになった生き物たちと語らう行為です。
そこには目に見える形、手で触れるかたちを超えて、彼らの言葉を書き留める行為にも似ています。
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