利岡裕子先生の生活シーンで学ぶ"しつけ"

2023.07.22

ドッグライフアドバイス

PART1 犬と楽しく外出しましょう(1)

PART1(1)犬の散歩、楽しんでいますか?犬と散歩をするのが、苦痛でしようがない人はいませんか?犬はペットの中で唯一、あなたとともに外出を楽しむことができるペットです。こんな動物は世界中どこを探してもいません。だから犬と散歩ができるのは、飼い主の特権なのです。1回目は、散歩が人にも犬にもすばらしい利点があることをご紹介したいと思います。犬と歩けば、人は心も体も健康になります不思議なことに、どんな人も犬と歩いていると、人間だけで歩いているより、「やさしい人」「安全な人」に映ります。歴代アメリカ大統領の宣伝用の家族写真では、必ずといっていいほど愛犬が写っているのも、こうした理由なのでしょう。 でも、そんな難しいことを持ち出す必要もなく、犬と散歩を楽しんでいる人なら、実感しているはずです。地域の人々と気軽に挨拶したり、犬を介した顔見知りの人々と声を掛合ったりがとても自然にできるということ。それに知らない人に愛犬が微笑まれたりすることで、あなたの心にやさしいうれしい気持ちが灯り、つい見知らぬ人と微笑みを交してしまうことも。仕事で疲れている人、家事で忙しい人、お年寄りなどの介護で息が詰まりそうな人、閉じこもりがちの人などなど、日常に気分転換が必要な人が犬と散歩に出るとリフレッシュできることは、よく知られていますね。そう。犬と歩けばあなたの心が元気になるのです。そればかりではありません。毎日歩くことは、あまり歩かない人の日常に比べて体の健康に良いはずです。体力増強、骨粗しょう症予防、衰えがちな筋肉の運動に、肺や心臓の適度な刺激に、と犬と歩けば自然なかたちで健康増進となります。 四季の移り変わりを肌で感じながら、心と体にゆとりと、心地良い刺激を与えてくれる愛犬との散歩。犬のためにしかたなく散歩に行くなんて、こんなもったいないことはありませんよね。とっておきの芸を工夫して教えるのも楽しい!「大井エンビ」くんのバンザイ家族と歩くと、犬は「いいコ」になります犬の散歩は、犬にオシッコとウンチをさせるためと思っていませんか?と~んでもない!犬にとって、家族といっしょに外出することほどすばらしいことはありません。以下にその効能効果を上げてみましょう。1. 適度な運動ができて、ストレスが解消されます2. 心の刺激となって、イキイキした犬になります。3. 犬が家族以外の人間を見たり、家庭以外の人間の営みを見たりできる唯一の時間ですから、毎日いろんな所に連れて行かれる犬ほど人間社会を体験でき、ストレスに強い犬に育って行きます。(注・「ストレスに強い犬」とは、ちょっと変わった場所や音や人間やといった外界の刺激に対して、落ち着いていられる犬のこと)4. 犬の困った行動が少なくなります。運動不足、ストレス過剰、たいくつなどが原因の愛犬の困った行動は、毎日の散歩によって解消できることがよくあります。5. 他の犬との出会いや遊びができて、犬は他の犬に対して寛容になり、ストレス解消になり、いい意味で自信に満ちた明るい犬になります。6. 外出の先々でドッグトレーニングをすると、愛犬はどこででもあなたのいうことが聞ける信頼できる犬に育っていきます。

2023.08.24

ドッグライフアドバイス

PART1 犬と楽しく外出しましょう(2)

PART1(2)利点を生かすための、散歩の基本知識犬を連れて散歩に行くのは、人間同士で外出するのとはちょっと違います。物言わぬ生き物と出かける配慮が必要ですし、また出かける先には犬が怖い、キライだという人もいます。ですから人も犬も快適に楽しく散歩をするために、次のようなことに気をつけてくださいね。愛犬をコントロールできると、他の犬が近くを通過しても、落ち着いて待っていられます。1.人も犬も互いに健康なときに適度な運動ができて、ストレスが解消されます2.暑さに弱い犬の気配りを犬は暑さに大変弱い動物です。夏は特に地面のアスファルトを手で触っても熱くなっています。こんな状態では、犬のパッドを痛めますし、毛皮を着ている犬は日中の暑さが体に堪えるだけでなく、熱中症などで呼吸困難になったりします。できるだけ気温が低い時間帯に散歩に出かけてください。ちなみに犬は朝と夕方が活発になる時間帯です。この時期に散歩に出かけると、ストレスが上手に発散させることができるでしょう。3.老犬の散歩はほどほどに犬も歳を取ると、あちこちが老化してきます。若い頃と同じような距離を歩かせることは、老犬にとって酷なことです。獣医師と相談して、老犬にふさわしい散歩をしてあげたいものです。4.ワンパターンの散歩コースは意味がありません毎日、同じ場所へ、同じルートを通って行く散歩は、あなたもたいくつですし、犬も人間の社会を少ししか体験できず、散歩に行っているのに騒々しいストレスに弱い犬になりがちです。毎日少しだけでもいいですから、場所やルートに変化をつけた散歩に心がけてください。5.犬のサイズに関係なく散歩は大切小型犬は散歩は必要ないと、未だに誤解している人がいますが、そうではありません。散歩はどんなサイズの犬にとっても、心の刺激になり、犬の社会化教育になるのです。家の外に一度も出たことのない箱入り娘、箱入り息子ほど、手に負えないわがまま犬になりやすいのはそのためです。犬のサイズに関係なく、散歩に出かけて人間社会を見せてあげましょう。落ち着いたストレスに強い、自信に満ちた明るい犬に育っていきます。6.初めての場所に慣らすには?愛犬をはじめて知らない場所に連れていくときは、行った先で怖がったら(あるいははしゃぎすぎていたら)、黙ってすぐに帰りましょう。そして落ち着いたら、「おすわり」など愛犬が従える号令をかけて、できたらほめてごほうびの食べ物を少しあげましょう。それからもう一度、さっき行った所に向って歩き、目的地に行くのではなく、犬が怖がる(あるいははしゃぐ)前の距離まで歩き、それからUターンして帰ってきます。こんなふうにはじめての場所に慣らすときは、時間をかけて慎重にしましょう。7.犬連れマナーは大丈夫?犬を連れて歩いていると、あなたが意識するしないにかかわりなく「犬連れの人間としての社会性」が周りから問われます。愛犬の排泄の場所、排泄物の処理はもちろんのこと、リードを短く持って歩いたほうが周りの迷惑にならないときがあること、他の犬と接触させることで迷惑になる人がいるかもしれないなど、周りの人々にいつも気を使うべきでしょう。あるいは公園のベンチで犬を座らせていいのか、お店の中に犬を入れていいのかなど、行く先々で人だけと出かけるのではない配慮が必要です。8.あなたのせいで犬嫌いを増やしていませんか?愛犬の衛生管理ができていないと、周りの人々はその不潔さに犬がきらいになるものです。愛犬のお手入れの手抜きは、周りの人々への配慮に欠けた行為と見られます。愛犬の病気予防や衛生管理は、くれぐれも手抜きをしないでくださいね。

2023.08.31

ドッグライフアドバイス

PART1 犬と楽しく外出しましょう(3)

PART1(3)犬の散歩には道具が必要です首輪とリードは何よりも大事な道具愛犬との散歩で何よりも大事な道具が、首輪(カラー)と引き綱(リード)です。なにしろ、この2つは犬がどんなときでも必要な数少ない道具で犬の命を守るために、犬から事故を防ぐために、そして周りの人々や他の動物たちに迷惑をかけないために。大切な、大切な基本の道具です。カラーとリードの選び方や使い方の詳しいことは次の機会にご紹介するとして、ここではカラーとリードが道具としてちゃんと機能する基本中の基本の使い方について触れたいと思います。カラー訓練用ではない普通の犬の首輪はどんなタイプのものでも、使い方がまずいと、犬が踏ん張って動かないときなどに首輪が犬の首から抜けて、思わぬ事故に遭うことがあります。ですから普通の首輪は必ず犬の首にぴったりと、指が1本入るか入らないくらいつめて装着するのが基本です。首がしまってかわいそうだからとゆるく首輪をはめている人がいますが、これは犬の命を守れない、もっとかわいそうな使い方です。リードリードには色んな素材、長さ、太さのものがあります。使い方で大切なことは、どんなタイプのリードであっても、いつもリードを伸ばしっぱなしにして歩かないということ。人や車の往来がある場所や、拾い食いしてしまいそうな場所や、他の犬たちと遭遇するような場所では、周りの迷惑にならないようにリードを短く持って歩きます。そして犬に地面の匂いを嗅がせたり、あちこち好き勝手に歩かせたり、マーキングさせたり、と犬にある程度自由にさせても、犬が安全で周りの迷惑にならないと思える場所に来たらリードを全部伸ばしてやります。リードはこのように、場所によって短く持ったり、長くして歩いたりするための道具なのです。あなたはいつもリードは目いっぱい伸ばしっぱなしで歩いていませんか?犬は暑さに大変弱い動物です。夏は特に地面のアスファルトを手で触っても熱くなっています。こんな状態では、犬のパッドを痛めますし、毛皮を着ている犬は日中の暑さが体に堪えるだけでなく、熱中症などで呼吸困難になったりします。できるだけ気温が低い時間帯に散歩に出かけてください。ちなみに犬は朝と夕方が活発になる時間帯です。この時期に散歩に出かけると、ストレスが上手に発散させることができるでしょう。その他、こんなものも犬の散歩道具に重宝します・ ウンチを入れる袋(ウンチを土に埋めるスタイルは迷惑!必ずナイロンの袋などに入れて自宅に持ちかえりましょうね)・ テッシュペーパーや小さなサイズのペットシート(愛犬が下痢をしたときなどに便利です)・ 愛犬が好きなおもちゃやごほうび用の犬のおやつ(散歩中に愛犬の気を引いて歩いた方が、事故がおきにくい場合などに重宝します。もちろん、公園などでいっしょに遊ぶときに!)・ 携帯電話や小銭(何かあったときに家族に連絡できるように)・ 水を入れたペットボトル(マーキングできない場所でうちのコ、しちゃった!ときに。街に住んでいる犬には必需品かもしれません)・ 水飲み用の器(暑い気候のときに)・ フレキシブルリードや予備のカラーとリード(公園でたくさん走らせたい犬に。もしものときに予備のカラーとリードを持っていると安心ですね)

2023.09.04

ドッグライフアドバイス

PART1 犬と楽しく外出しましょう(4)

PART1(4)犬と散歩に出る前にもう一度確認しましょう!散歩の確認10カ条1. 適性の運動量は?それはいちがいにはいえません。人と同じように犬だって、体調が悪いときもあれば、暑くてへばっているときもあれば、もちろん年齢を重ねていくと、運動量も変わります。それに、ただ歩く散歩、飛んだり跳ねたりする散歩、自転車などの伴走による散歩など、運動の質にもよります。そこでここではどんなときでも、ある程度目安になることをご紹介したいと思います。それは愛犬が散歩から帰って来たときの状態を見ることです。・ぐったりしていたら?・・運動のしすぎかも。・まだ騒いでいたり走りまわっていたら?・・・運動不足かもしれませんが、運動のしすぎでテンションが下がらないままなのかもしれません。・無気力な感じなら・・・運動不足かもしれません。・ゆったりとくつろいでいたら?・・・今日の散歩の運動量が適性だったと判断します。2. 散歩に行くのを決めるのはあなたどこへ行くのか、どこで遊ぶのか、どこで愛犬のしたいことをさせるのか、他の犬とごあいさつをさせるか、いつ家に帰るのか、などなど犬の散歩での決定権は常にあなたにあります。愛犬まかせにしていると、事故やトラブルや迷惑の元ですよ!そして何より、あなたが苦労するはず。3. 他の犬とのごあいさつは?仲良しの犬なら別ですが、初めて出会う犬、顔見知り程度の犬には、飼い主同士が軽く会釈をする程度で、犬同士を接触させるのはトラブルの元ですからやめましょう。4. 他の人とのごあいさつは?人を見ると飛びついてしまう犬は、「お座り」で相手に撫でてもらえるようになるまでは、あまり無造作に人に近づけないほうがいいでしょう。これは小型犬でも同じです。どうしても相手の人が近づいて撫でたがるようなら、リードを短く持って、飛びつかないようにコントロールして撫でてもらってくださいね。 また知らない人を見ると、不安そうにたたずんだり、後ずさったりする犬の場合は、無理に他人に触らせて不安を増長させないで下さいね。ますます他人が嫌いになったり、ときには怖いあまりに相手を噛むことも考えられます。愛犬が事故を起さないように守ってやるのも、飼い主のあなたの責任ですから。5. マーキングなるべくさせないで!空き地や山の中など、他人が容認してくれる場所以外では、マーキングはさせないようにしましょう。排泄としてオシッコをするのと、犬同士の名刺交換のマーキングとは、意味がちがうのです。リードを短く持ってマーキングをがまんさせて、排泄させても良い場所でリードを緩めてやると、まとめてオシッコをするようになります。そうやって膀胱を空にしてやると足を上げてもオシッコが出ない状態になります、そうでないと、たとえ自宅で排泄をすませて散歩に出たとしても、膀胱にたまっていると、あなたがリードを長く持ってぼんやり歩いたら、愛犬はマーキングするでしょう!油断は禁物です。6. ウンチこれは、あなたが後始末をすることです!土に埋めるのではなく、ナイロン袋などに入れて、自宅に持ちかえりましょう。7. 散歩コースは変化に富むようにその理由は前に書きましたね。毎日の散歩のコースはいろいろな変化に富んだ道を歩きましょう。ある日は公園まで、ある日は繁華街まで、ある日は駅まで、ある日は空き地まで、ある日は山まで、ある日は海まで、ある日は友達の家までという具合に。8. 愛犬のしたいことをさせる?2で説明しました。マーキング、地面の臭いをかぎたい、他犬とごあいさつがしたい、他人にご挨拶したい、行きたい、帰りたい、もっと遊んでいたい、などなど。愛犬がしたいことをさせる決定権は全部あなたに手の中にあります。さて、させましょうか?それとも今はがまんさせましょうか?犬の安全は大丈夫?周りに迷惑がかからない?あなたの時間の都合など苦痛はない?これらを考えて、どちらかに決めてください。9. 他の犬と遊ぶ?仲良しの犬同士が遊ぶのは、犬にとっても最高のストレス発散になり、社会化も身につき、どんどん遊んでほしいと思います。ただし、条件は4つ。遊ぶ犬同士は仲が良くて、互いに楽しめること。病気予防がしてあること。そして犬がオフリードであること。リードつきはむしろ犬同士の喧嘩や事故の原因になるからです。ということは最後の条件は、犬が事故に遭わないよう扉が締められる管理された場所で遊ばせることです。10. オフリード扉が締められる管理された場所以外で、犬をオフリードにしてしまうと、愛犬の命が守れません。どんなにおとなしい犬でも、賢い犬でも、絶対安全ではありません。また、オフリードの犬は周りの人や他の犬にとっては、脅威となることもあります。本当に気をつけてくださいね。

2023.09.04

ドッグライフアドバイス

PART1 犬と楽しく外出しましょう(5)

PART1(5) さあ犬と散歩に出かけましょう首輪とリードの準備はOK?愛犬と毎日散歩に出かけるのが日常のあなた。ちょっと、確認しましょう。家を出るときのこと。その首輪とリードの持ち方で愛犬は安全でしょうか?あなたは安全でしょうか?人も犬も安全に外に出られるでしょうか?佐々木俊子さんと愛犬のまいちゃん(柴犬ミックス・メス・年齢不祥)にモデルになってもらい、順を追って安全な方法をご紹介したいと思います。もう一度確認のために参考にしてくださいね。モデルの佐々木俊子さん(静岡県藤枝市在住)と愛犬のまいちゃん。ご主人がゴルフ場で放浪していたまいちゃんを保護して、佐々木家の家族の一員になりました。人懐っこさは天下一品!のまいちゃんです。1. 首輪の装着は、犬のアゴの下からかけます犬の頭の上からおおいかぶさるように首輪を装着しようとするといやがるよ!2. 首輪は、指が1本入る程度に締めますそれより首輪がゆるいと、犬が後ずさりしたときに、首輪が抜けることがありますから要注意です。3. リードのナスカンは大丈夫?金属疲労がないか毎回よく見て確認してから、首輪の留め金の部分にしっかりとつけましょう。4. 安全のために、リードの端はいつもあなたの手の中に収めますリードの端っこは垂らしてしまわず、親指にいつも引っかけておきます。こうすると、リードの端を踏んであなたが転んだり、愛犬がリードごと逃げるなどの危険を防止できます。5. リードの余分な長さの部分は手の中に畳んで持ちます手にグルグル巻きにしてリードを持つのではなく、手の平の中に折りたたみながらリードを手の中に納めます。こうすると必要なときにリードをすぐにのばせます。何より愛犬に引っ張られても、しっかりとリードを持っていられます。6. 家を出るときは、リードは短く持ちましょうリードは人と犬の安全のために、その長さを環境などに応じて長さを調整して持つ道具です。家を出るときリードが長いまま外に飛び出すと、歩行中の人や自転車にぶつかるなど、思わぬ事故につながります。そのためリードを短く持って、何が飛び出してきても大丈夫な状態で家を出ます。7. 愛犬のリードの長さ目安を知るコツ愛犬をあなたの体側に置いて(犬は立っていても、座っていても可)、あなたは腕をのばした状態でリードを持ちます。そして画像のように、首輪からリードを持った手までに少し「ゆるみ」が出る長さが、リードを短く持った状態です。あまり短くすると、犬はいつも首が締まった状態で歩くことになり、「ゆるみ」が長すぎると安全性にかけてしまいます。8. リードの持ち方リードは片手で持ってもいいですし、両手の一方をリードに軽く添えて持ってもかまいません。引っ張りが強い犬は両手でリードを持っているほうが安全です。

2023.09.04

ドッグライフアドバイス

PART1 犬と楽しく外出しましょう(6)

PART1(6) さあ犬と散歩に出かけましょう「いいよ」と言われるまで、玄関が開いても待っていられる?1. 理想は玄関扉の前で「おすわり」ができて、「いいよ」と言われたら、あなたと一緒に外に出る犬だと安全ですよね。でも何度も「おすわり」って言わないと従わないのなら、あるいはこんなときに号令がきけないのなら、無理に「おすわり」をさせようとしないでください。あなたも愛犬も散歩の前に気分が悪くなって、楽しい散歩が台無しになるでしょ?号令の必要がない、もっと簡単で楽しく安全に外に出る方法をご紹介します。2. 最初は、扉前で、4本足が地面についてリードが緩んだら出発早く外に出たいよお!と気がせいている犬には、まずとにかく4本の足が地面について、短く持ったリードがちゃんと「ゆるみ」のある状態になるまで、辛抱強く待っていてください。待っているときは、犬を叱ったりなどの声かけをしてはいけません。また犬を見たり、撫でたりなどもしてはなりません。ただただ無言のまま、4本足が地面について、リードがゆるむ瞬間を待っていて。そうなったらすぐに「いいよ」と合図をかけながら扉を開け、さあ出発!3. そんなに時間がかからず2の状態ができるようになったら、次の練習ステップに入ります。扉のノブを握ります。犬の足は地面にちゃんとついていて、リードが緩んでいますか?それならすぐに「いいよ」と合図を言って出かけましょう。でも飛びついたり、前に行こうとしてリードを引っ張るようなら、無言で(心の中では、あ~あ残念!とつぶやいて)ノブを握った手を下ろして、犬の足が地面について、リードがゆるむまで待ちます。そしてそうなったら、またノブを握ります。これのくり返しです。ノブを握っても、地面に4本足がついていて、リードがゆるんでいるなら、すぐに「いいよ」と合図をかけながら扉を開けて、さあ出発!4. 次は扉を少し開けても、落ちついていたら出発です3ができるようになったら、いよいよ扉を開けて、「いいよ」の合図が出るまで待っている練習をします。扉を開ける隙間は、最初はちょっとだけ開けてみます。これで犬が、リードを引っ張らず、4本足が地面についていたら、すぐに「いいよ」の合図で出発します。でも扉をちょっとでも開けると前に飛び出すようなら、飛び出す前にすぐに扉を閉めます。リードがゆるんで地面に足がついたら、またちょっとだけ扉を開けます。ダメなら扉をすぐに閉める・・・という具合に、何度も同じことを無言のまま(心の中で何をつぶやいてもいいですよ!)続けていると、そのうちどんな犬もリードを引っ張らず、地面に4本足がついていたら扉が開く(散歩に行ける)ことを理解します。5. 人と犬が通れる幅まで扉を開けてもOKなら完成です4を続けましょう。毎日少しづつ扉を開ける幅を広げて練習していきます。最後はあなたと愛犬が楽に出ていける幅まで扉を開けても、4本足が地面について、リードが緩んだ状態で、「いいよ」と合図がかかるまでその状態でいられるようになります。そうしたら完成です。さあ楽しい散歩に出発!6. 出発前に扉の前で「おすわり」させたい?そういう希望がある人は、号令を教えるのもいいのですが、犬が玄関の扉の前で偶然に「おすわり」をするのを待って、その時がきたら「おすわり」と言った後に「いいよ」と合図をかけて出発するといいでしょう。

2023.09.04

ドッグライフアドバイス

PART1 犬と楽しく外出しましょう(7)

PART1(7) 犬に引っ張られて歩く散歩、苦痛ではないですか?実は犬だって、苦しい!1. 犬って、引っ張るのがあたり前?!「犬に引っ張られて歩くのが、犬の散歩でしょ?」と、グイグイ犬に引っ張られて歩いていてもちっとも苦痛ではない人がいます。モデルの柴犬ミックスまいちゃんの飼い主、佐々木俊子さんのご主人も「引っ張られても平気派」。 でも妻の俊子さんは、「私はまいの散歩が苦痛です。引っ張られて大変ですから」と。多くの人は俊子さんのように「引っ張られるのが苦痛派」ではないでしょうか?俊子さんは、まいちゃんとリードをゆるめて歩く練習を始めました。半年練習をした結果が画像の通り。まいちゃんは俊子さんの左側について、リードがゆるんだ状態で(つまり飼い主を引っ張られないで)歩けるようになりました。練習さえすれば、どんな犬も飼い主を引っ張らないで歩けるようになるものです。これから何回かに分けて、どんな犬でも誰でもできる失敗しない犬と楽しく歩くための練習方法をご紹介していきたいと思います。2. まずは犬の歩く位置を決めましょう犬と歩くときの基本には2つあります。その一つは、犬があなたと歩くときの位置を決めてあげることです。あなたの体の左側か右側で、いつも犬を歩かせるようにするのです。一般的にはあなたの体の左側で犬を歩かせる方が犬をコントロールしやすいのですが、右側のほうが楽な人は右側でもかまいません。(モデルのまいちゃんは左側につけています)どちらかの側に犬を歩かせることを決めたら、その側でいつも犬が歩けるよう心がけることが大切です。(犬を左側につける練習は次の機会に詳しくご紹介します)あなたの前後左右にと、犬が好き勝手に場所を移動しながら歩くことを放置していると、人間との歩き方を犬に教えにくく、犬も人間といっしょに歩くときのルールを覚えられなくなるのです。(ただし犬を好き勝手に歩かせてもいいときは、自由にしていいのですよ!)3. リードはゆるめて歩きます犬と歩くときの基本の二つ目が、リードをゆるめて歩くことです。「リードをゆるめて歩きましょう」と言っても、ピーンと来ない人が案外多いのですが、あなたもそうですか?画像のモデルのまいちゃんを見てください。リードはかなり伸ばして歩いていますが、ピーンと張っていませんよね?たるんでいるでしょ?これが「リードをゆるめて歩く」こと。具体的には、リードを長く持とうが短く持とうが、それには関係なく、首輪につけたリードのナスカン部分からあなたの手までの距離のリードが、いつもゆるませて歩くということです。ここがピーンと張っていたら、犬があなたを引っ張って歩いている証拠。ここがゆるんでいたら、あなたを引っ張らずに歩いているということです。4. 「だって犬が、勝手に引っ張るの」ですって?「リードをゆるめて歩く」と簡単に言うけれど、犬が勝手に引っ張ってしまうのだもの!と嘆いている人、ちょっと待って。犬だってこう言っています。「飼い主が引っ張るから首が苦しくて苦しくて、だから飼い主から逃げたいのさ」って。 犬がリードを引っ張ると、首輪が引っ張られて首が苦しくなります。そこで、あなたから逃れようとさらに前に行こうとしてリードを引っ張るのです。そんなときにあなたが引っ張られながらいっしょに前に進むと、犬はますます首が苦しくて、あなたから逃げようとリードを引っ張り、あなたと犬はまるで永遠に終わらない綱引きをしているようになります。これでは犬の散歩が苦痛になっても当然です。ひどいときは、そのために前足を浮かしたように前身を浮かしながら歩くしかない犬もいます。この姿勢は犬が「攻撃」をするときにとても似ているので、他の犬が見たらギョッとします。これが原因で犬同士の喧嘩に発展するときもあります。だから、とにかく犬の首をしめないように、「リードをゆるめて歩く」ことがとてもとても大切なのです。

2023.09.04

ドッグライフアドバイス

PART1 犬と楽しく外出しましょう(8)

PART1(8) 犬と楽しく歩くための最初の第一歩リードをゆるめて歩く練習をしてみましょう!1. 「さあ、行くよ」と声をかけて練習開始ですさあ、では犬と歩く最初の第一歩、「リードをゆるめて歩く」練習をしましょう。その前にまずは、練習をする場所のこと。最初の第一歩の練習はリードを全部伸ばしてするほうが犬にわかりやすいので、周りに迷惑のかからない広い場所を選びましょう。次に「リードをゆるめて歩くよ」という意味を、あなたと愛犬の共通言語として、合図の言葉を決めましょう。私の教室では「さあ、行くよ」あるいは「レッツゴー」と決めるクライアントが多いのですが、家族全員が使える言葉なら、なんでもいいでしょう。では練習開始。「さあ、行くよ」と声をかけます。そしてリードを全部伸ばして歩き始めます。2. 犬が引っ張ったら、練習の合図ですすぐに犬はあなたを引っ張りますね!ええ、そうですとも。リードはピーンと張った状態ですよね。この状態になったら、練習ができます。ピーンと張ったリードを、どうやってゆるめるか、それをあなたが考えるのです。ただしリードをゆるませようとして、次のようなことをしてはなりません。その一つは意識的にあなたが力まかせにリードを引っ張ること。二つ目は犬に引っ張られるままに、犬といっしょに進むこと。三つ目は犬を叱ること。さあ、それでは他にどうやってリードをゆるめることができるでしょうか? 3. 電信柱になりましょうあなたがすることは、たった一つです。電信柱になることです。犬がどんなに引っ張っても、引きずられないように、そしてリードをわざと引っ張らないで、ただもう、その場で立ち止まっています。リードをそのまましっかりと握っているだけです。電信柱ですから、しゃべることも犬に話しかけることもしませんよ!大型犬など力の強い犬で、あなたが立ち止まって踏ん張っても引っ張られてしまうなら、家族と腕を組んで犬の力に負けないように練習するか、訓練用のカラーを使用して練習するといいでしょう。(犬に力負けしてしまう場合の練習は、次の機会に詳しくご紹介します)4. ひたすら待ちますそのままの状態で、ひたすら待ちます。何を、ですって?!犬が「前に進めない」と気付いて前進しようとする力を抜くか、この状態にあきるか、この状態をなんとかしたくてあなたの方を見るか・・・理由はともあれ、リードがゆるむのを待つのです。それまであなたは電信柱に徹します。5. リードがゆるんだら、そばへ犬を来させますそのうち、なんらかの理由で犬のリードがわずかですが、ゆるみます。(犬がこの状態にあきてあなたに振り向くか、地面のにおいをかぐか、座りこむか、いろいろですが、そんなときにわずかにリードがゆるみます。なおこんなに待てない場合の練習方法は、またの機会にご紹介します)この瞬間が、教えどきです。リードがわずかでもゆるんだら、すかさず、あなたは楽しそうなトーンで犬の名前を呼んだり、楽しい声を犬にかけたり、ピヨピヨとなるボールを鳴らしたりして、犬があなたのそばへ、しかも左側に来るように仕向けます。そうするとほら、犬があなたの方に向ってくると、もっとリードがゆるむでしょ!このとき長く伸ばしていたリードを、そばに来る犬の歩調にあわせながら、なるべく犬があなたの左側に来るように、リードをたくしながら短くしていくと、確実にあなたの体の左側にリードがゆるんだ状態で犬が来ます。(リードを無理に引っ張ってそばに来させないでね)6. 左側に来て、リードがゆるんだら歩き始めます犬があなたの体の左側に来て、リードがゆるんでいますね。犬を落ちつかせるために、すぐには歩きはじめないで、その状態で一呼吸待ちます。こうしてまた(5)に戻り、(10)までのことを繰り返し練習します。7. 根気よく続け、そして待ってあげる練習ちっとも前に進めないと、ため息をつくあなたかもしれませんね。でも、がんばってください。散歩以外の時間でも、1日何度でも何度でも練習しましょう。1回の練習時間は、犬よりあなたの根気が続かないでしょうから、せいぜい5分~10分ぐらいでしょうか。練習を重ねていくうちに、犬は自然に理解します。「首が苦しくなったら、飼い主のそばに行けば楽になり、しかも前に歩ける」と。こうして犬は「首が苦しくないよう歩いていれば、前に進める」と自主的に飼い主を引っ張らないで歩くようになります。この練習はあなたにとって、根気のいる辛気臭い練習かもしれません。でも犬の首を締めて苦痛が伴うストレスを与えながら教える方法より、ずっと犬にやさしく、あなたの犬を扱う技術もいらず、しかもどんな性格の犬も、どんな年齢の犬でも、楽しく学習できるため、家庭犬とその家族にとっては、失敗しない練習方法です。なお(8)と(9)で、ひたすら犬が気付くのを待つ方法だけで学習した犬は、自主的に学習したので、覚えたらしっかりと身につけられるようになります。この練習を高度にしていくと、あなたが立ち止まるだけで、犬は自らあなたの体の左側に戻って待ち、あなたが望むのなら「おすわり」をして待ち、あなたが「さあ、行くよ」と合図を出すとリードがゆるんだ状態で、あなたといっしょに歩く犬になります。

プロフィール

利岡裕子(としおか ゆうこ)
著述家、公益社団法人日本動物病院協会(JAHA)認定家庭犬しつけインストラクター。
本協会の会報誌『パートナー犬』において「いぬはなにを考えているの?」を2000年より20年以上にわたって連載中。
「イヌは飼い主に似る」「イヌと上手に話ができる本」「大好きなイヌともっと仲良くなる44の方法」(三笠書房・王様文庫)「犬の飼い方 常識非常識?」(誠文堂新光社)「犬と話そう」(偕成社)など、著書多数。執筆のかたわら静岡市で「ドッグスタジオyukko家庭犬しつけ方教室」を開いている。

利岡先生